PerceivE

映画・本の感想とかメモとか考察とか

自問自答のテンプレ<[ウィジェット]と[ワジェット]とボフ>

スタージョン奇想コレクションの「[ウィジェット]と[ワジェット]とボフ」を読みました。

[ウィジェット]と[ワジェット]とボフ (奇想コレクション)

[ウィジェット]と[ワジェット]とボフ (奇想コレクション)

最近メモばかりしてブログ更新してなかったのですが、スタージョンということでメモ代わりにブログ書くことにしました。

スタージョンの物語のタイプ

編者あとがきにも記載の通り、スタージョンは同じテーマを色々な物語で適用している。悪く言えば同じネタを使いまわしている。

例えば、

  • 登場人物が「自分は普通の人間ではない」と感じているという葛藤。
  • 自分が何者であるかという疑問。
  • 地球外生命体が人間に思わぬ恩恵を与える話。
  • ブルドーザー。

これらがスタージョンの作風を表している、と言えるわけではないが、作者の根っこにある経験・考えが垣間見えて面白い。

感想

  • 帰り道

家出した少年が、街を出て戻ってきた男性たちの様々な人生を聞く。成功した男、放浪する男。どれも一長一短。

結局、彼は家出せずに家へと戻る。

外に出たいという衝動が青春っぽい雰囲気で、アメリカ映画のような印象を持った。

  • 午砲

普通小説。

所謂負け組な主人公が、バーで素敵な女性に会って一瞬浮かれるものの、強そうな男性が同伴してたというベタな展開。一度は逃げるものの、ふたたびバーへと復讐を果たしに向かう。

午砲のエピソードなど、スタージョンっぽい不思議な後味がある物語。

  • 必要

今回一番気に入った作品。一番スタージョン特有のトリッキーさとセンスオブワンダーに溢れていた作品。

妻に逃げられた男の前に現れた、人間が必要としているものが視える男となんでも揃えてる〈よろずあきなひ屋〉の店主。

男は妻が帰ってきて「欲しい」が、妻には介抱できる人が「必要」だった。必要なものと欲しいものの違いとはなにか。

視える男の苦悩とか、よろずあきなひ屋との奇妙な関係とか、スッキリするハッピーエンドとか、全部すごい。すごいです。

  • 解除反応

スタージョンのブルドーザー小説シリーズ。

記憶が不明瞭になってしまった主人公が意識を取り戻そうと目の前に現れた男に質問し、自問自答する。

ヴィーナス・プラスX (未来の文学) の序盤と似たものを感じた。自分が何者であるかという疑問を、自分の記憶を辿ることで解決しようとするのだ。

スタージョンにとって自己とは地続きで記憶に依存している、そういうことなのだろうか。

  • 火星人と脳なし

コメディタッチなSF。

火星の電波を受信しようと必死になった父親のエピソード、そのあとに語られる主人公が出会ったとびっきりの女性の話。全く関係ないように思える二者が思いがけずつながっている。

主人公は「気が合う」と思った女性は、いつだって主人公に同意し、いつだったそれとなく話をぼかす「脳なし」だった。 (ELIZA - Wikipedia みたいな発話しかしないというわけだ)

しかしながら、実は彼女は火星の電波を受信しており、実は……とどんでん返しなラストで終わる。

中編。この短編集の後半を占めているメインイベント。

「地球外生命体が人間に恩恵を与える」系の話であり、序盤と後半に実地報告書の体で異星人の思考が述べられている。地球の言語に訳すのが難しいという体で、 翻訳者注釈 がついているのがなかなかユーモラスである。

本編の内容としては、下宿屋の住人たちがオーナー夫婦に扮した異星人たちによって立ち直ったり活路を開いたり決断ができるようになったりする、という話。

異星人は思考を押し付けるわけではなく、ただ彼らに質問を繰り返す。「そうなの?」とか「なぜ?」とか。それは自問自答に似ていて、ELIZAのようなカウンセリングにも似ている。

問題に対する結論はすでに彼らの中にあるにもかかわらず、引き出せていない。それを補助する形で質問するのだ。

海を失った男 (河出文庫) の「三の法則」に近い内容だが、それと比較すると住人たちそれぞれの葛藤が詳しく描かれている。法律と身分違いの恋愛とか、「死にたい」と思ってしまう根源の考え方(突き詰めるとセックスに興味を持てないことだった)とか。これらの 気付き の描写がとてもおもしろく興味深い。

例えば自分が(セックスに興味を持てない)非平均的な人間・少数派な人間であると苦しんでいたハルヴォーセンは以下のことに気づく。

点があまりにも広く分散しているので、平均的人間という直線上に実際にある点は無視できるということだった。それよりも非平均的人間のほうが何百万もたくさんいるのだ。

といったように、伏線が回収されるようなスッキリ感がある小説である。

最後に

ひとつのことを自問自答し、答えにたどり着くことは容易ではない。

でも活路を見出すのは自分自身なことにかわりはない。そう思う小説だった。

奇妙な味を味わう<夜の夢見の川>

「奇妙な味」は江戸川乱歩がつくった造語。(奇妙な味 - Wikipedia)

守備範囲は推理ジャンルのみならず、SFや怪奇モノにもわたる。ちなみに、奇想コレクションも奇妙な味。

そんなわけで「奇妙な味」アンソロジーである「夜の夢見の川」を読みました。

久々に読んだ創元推理文庫です。

感想

前回に引き続きつぶやいたものを修正したものです。

  • 麻酔

どうやってもホラーですありがとうございます。歯医者に現れるfate/zeroの雨生龍之介ですありがとうございます。あらすじが雨生龍之介で表せてしまう恐ろしさ。

調べてみるとこれは「厭な話」に当たるのかもしれない。胸くそ悪い気分になります。

  • バラと手袋

幼き日、収集家の同級生と交換したオートバイのおもちゃ。大人になって急に欲しくなって仕方なくなった主人公は同級生のもとを尋ねる。

信じられるのはモノ、実在だけ。我々が最後に行き着く・執着する場所は昔手放したくだらないモノなのだ。

  • お待ち

千と千尋の序盤みたいな、心がキリキリする感じの話。(厭な話にカテゴライズされると思われる)

見知らぬ町に迷い込んだ少女が「お待ち」という謎の慣習によって精神的に追い詰められる。少女の母親は「いい人と結婚するように」としばりつけていたのに、病気で療養した結果町の人々に洗脳されている。

追い詰められた少女はついに男を待ち続ける。。救いがない話。

  • 終わりの始まり

13年前に死んだはずの母から電話がかかってくる。母が亡くなってから疎遠になった兄と共に、主人公は母の家へ赴く。

不思議な出来事によって、家族の絆が復活する。この短編集唯一の、ほっこりする話。

  • ハイウェイ漂泊

ハイウェイに置き去りにされた車たち、乗っていたはずの人々はみな行方不明になっている。車はみな高級車、乗っていた人々はみな家族。

バックグラウンドにある暗い世界観、新人類的な存在。深読みできそうな、不思議な作品。

「ミーイズム」世代を象徴するライフスタイルSFの頃に書かれた話だそう。

  • 銀の猟犬

都会から田舎に引っ越した家族、主人公は銀色の二匹の猟犬を見つける。二匹は彼女をみつめ、追い回す。そして悪夢を見る。

彼女の精神がゆっくりと狂っていく描写がすごく鬱。

悪夢の内容はアルテミスのメタファーらしい。そういうの分かるとさらに面白いのかもしれない。

  • 心臓

読みたかったスタージョン!すごく短い、ショートショートです。

酒場で出会った女が、自分の身に起こった話をする形で話は進む。彼女が心臓の弱い男と恋に落ち、別れ……オチまですっかりキレイにまとまっている。

タイトルどおりでありながら、予想外の結末。凄い。さすがスタージョンである。

  • アケロンの大騒動

ウェスタンな世界観。街に現れた男二人が決闘をし、町娘と結ばれるはずだった片方が亡くなるが、怪しい医者が現れ彼を蘇らせるが……。 ドタバタ劇のようにサクサク進む。

怪奇小説。“わたしの初体験は試練でした”からはじまるのが非常にキャッチャー。 主人公が若い頃、剣を使った不思議なショーをみて、そのショーの演者の女と初体験を試みるが……

これこそ奇妙な味。女の正体はなんなのか、なぜ刺されても死なないのか。不思議で暗い雰囲気。

  • 怒りの歩道──悪夢

こちらもショートショート。著者のG・K・チェスタトンは推理作家として有名らしい。

食堂にやってきた風変わりな男。彼はある日突然駅に続く街路が愛想をつかしたことを語る。

街路が来る日も来る日も駅に繋がってるとなぜそう思えるのか?道路はあなたのことをどう考えていると思うか?シンプルに面白い。

  • イズリントンの犬

我が家の犬がしゃべるようになった、的な定番の作品。優雅な生活を送ってる家族が手に入れた犬はお手伝いさんによってしゃべるようになっていた。優雅な生活の裏にある秘密をその“言葉を話す”犬によってどうにかしようとするが……

英国の愛犬家精神と絡めてるのも面白い。

  • 夜の夢見の川

『黄衣の王』をもとにした作品。結構有名な作品らしいので、元ネタを読んでた方が面白いのかなあという気持ちになった。

施設から偶然逃れられた女が、古風な女性に助けられ、悪夢か現実か幻覚かよく分からないものに悩まされる。少し訳がわからない雰囲気が奇妙な話だ。

メイド服やコルセットなどの服装描写が細かくて作者の性癖を感じた。

さいごに

奇妙な味、と一口に言ってもファンタジー・SF・グロ・胸糞・ほっこり、などなど多岐にわたるのでなかなか「このジャンルが好きです」とは言いにくいなあと感じました

感情がぐっちゃんぐっちゃんになるやつ、という括りではあるとは思うのですけど。

私は「厭な話」系は元気じゃないと読めないですね。鬱になりそう。

話を選出するアンソロジストも大変そうだ

幻想の未来世界<十月の旅人・刺青の男>

レイ・ブラッドベリの短編集2つの感想。

読んだのは十月の旅人・刺青の男。どちらも結構最近出版されたもの。

表紙がオシャレである。

十月の旅人

今まで日本で日の目をみなかった作品を中心にまとめた短編集。

SFじゃなかったり、ブラッドベリぽくない作品が多い印象をおぼえた。

簡単な感想

  • 休日

火星から故郷である地球の最後を見る。呆気ないほどの花火。

  • 対象

レッテルを貼られると存在がそれに固定されてしまう宇宙人の話。 物語では宇宙人という設定だけど、人間ってレッテルを貼られて生きてくよねっていうテーマが感じられる。

レッテルを貼らないでくれ!と叫んでも誰も信じてくれない状況とか、染みる。

  • 永遠と地球

ブラッドベリさん、文豪を登場人物にするの大好きシリーズ。 早世なトマスウルフを死ぬ間際に未来へ連れてきて、宇宙を舞台にした作品を書くように頼むという話。

過去は変えられない。けれど彼の墓には花束があり、絶えることは無いというオチが美しくて好きです。

  • 過ぎ去りし日々

高度なループものっぽい挑戦的な作品。年老いた主人公は子供の時の自分を見、青年のときの自分を見る。クリスマス・キャロルへのリスペクトを感じる。

  • すると岩が叫んだ

一番好き。欧米の白人が大戦によって滅亡し、熱帯雨林を旅する白人夫婦がだんだんと追い詰められていく。 ある意味で終末ものなのかもしれない。

白人は彼らにとって格好の憎悪の対象だった。だんだんとなんのために殴り合うのかわからなくなった。

夫婦はなにもかも奪われた。知らない人間だから奪うのだ。ひとりでも、知っている人がいたら。

仄暗い、救われない世界観が良い。

刺青の男

未来から来た老婆が彫った刺青。夜に動き出して物語を上映する。

短編それぞれ違うテーマ・世界を描いている。多種多様な物語。

簡単な感想

  • 万華鏡

宇宙に散り散りに投げ出された船員たちの会話。主人公は死へ落ちていく中で生きてきた人生の“みすぼらしさ”とか、死の種類とか、そういった回想をする。

思い出してしまえば人生とは束の間の映画。刹那を感じさせる美しい物語。

  • 形勢逆転

黒人しか住んでいない火星。その火星に白人の乗ったロケットがやってくる。

黒人たちは白人が黒人に行った差別と同じことを火星で繰り返そうと考える。しかし、地球は既に失われていることを知った彼らはやり直そうと誓う。テーマが分かりやすいし、なにより最後の1文が良い。

  • 街道

道は歴史を映す鏡、そういうことですよね。通り過ぎる車によって、のどかな土地に住む主人公は世界を見る。

  • その男

新天地を探す部隊がたどり着いた星。先住民が彼らを歓迎しないのはなぜかと聞けば、ちょうどその前日“その男”が現れたのだった。隊長は彼に追いつこうと出かけるが……

神頼みの前に、信じる心や、努力がないといけない。そういった皮肉を感じられる作品。

  • 長雨

金星に不時着した部隊は太陽ドームを目指す。金星のやまない雨に追い詰められていく絶望感。

ただの長雨がこんなに恐ろしく描かれるとは。太陽賛歌とも言える作品。

  • ロケット・マン

主人公の父親は宇宙を旅するロケット・マン。3ヶ月以上帰ってこなくて、帰ってきてもすぐに宇宙に行ってしまう。母親は、父は亡くなったと思うことにしているのだと言う。死んだらその星を恨んでしまうから。

前の作品とは逆に、太陽の恐ろしさを描いていて、対比がよい。

  • 火の玉

新天地火星に信仰を広めようと向かった神父達。火星人は肉体から解放された火の玉のようであった。“あの方”なのであった。

火星と神父の組み合わせが斬新。

  • 今夜限り世界が

これはやばい。

終末ものなのに、“心地よい破滅”のように彼らは終末を受け入れ、しずかに終わる。理想の終末もの。

  • 亡命者たち

ブラッドベリ、文豪を登場人物にするの大好きシリーズ。

禁書になってしまったファンタジーものの本の作者達が、火星にいる。忘れられれば、読者が消えれば死んでしまうため、自分たちのために戦う。異能バトルものに発展しそうな世界観。

  • 日付のない夜と朝

宇宙に出ると哲学的になってしまう。それは宇宙病。ヒチコックはいままでの人生、存在について疑問を抱き苦しむ。きのうの自分はきのう死んでいるから、ばらばらなのだという。

親友のクレメンズは彼を救おうとするが、努力は実らず、ついに宇宙に身投げする。上も下もない宇宙。哲学的。

  • 狐と森

戦争のため、国民が厳しく統制された未来からタイムスリップしてきた夫婦は未来に連れ戻そうとする“捜索課”から逃げようとする。

トリッキーでアクション映画みたいな作風。

  • 訪問者

病気で火星に隔離された人々。みな地球を恋しがる。そこに新しくやってきた青年はテレパシーで人に幻想をみせることができた。ニューヨークや懐かしき子供時代の景色。主人公は青年を独り占めしようとするが……

蜘蛛の糸のような話。一筋の希望によって人々が欲望を顕にする。希望は時に人を狂わせる。

火星人が侵略のために地球に攻め込んだのに、地球人は商魂あふれる資本主義を発揮してきたというめちゃくちゃ皮肉がきいてる話。

素朴な魂はそういった利益を求める人々に“侵略”されてしまうのだ……

  • マリオネット株式会社

自分とそっくりの“マリオネット”に嫌なことはやってもらおうとするけど、そうはいかない的な夫たちの話。

妻の愛が重いという悩みをある意味でマリオネットが解決しちゃう皮肉。

無生物の擬人化大好きシリーズ。町は住民の意思を継ぐ。夏の描写がノスタルジー

  • ゼロ・アワー

恐るべき子供たち、的な。火星人は、火星人の存在を信じる子供たちに侵略の一端を担わせる。 子供は親を愛していると思えば、次の瞬間には憎む存在なのだ。

  • ロケット

お金持ちだけが乗れるロケット。

主人公はロケットで旅することを夢見る。しかし、持ってるお金は一人分のチケットしか買えない。

家族の誰かひとりが乗るとなると争いが起こってしまう。そう思った彼は家族で宇宙旅行に行く方法を思いつく。

最後にふさわしいほっこりした話。

最後に

暗くも美しい作風が楽しめるブラッドベリ。とても良かった。

「すると岩が叫んだ」「万華鏡」「今夜限り世界が」が好きです。

今回はツイッターのつぶやきをブログ用に修正する、というのを試してみました。

短編はこまめに感想を書いたほうが忘れないし、ちょうどいいかもしれない。

便宜的な記憶<パン屋再襲撃>

私は村上春樹をよく知らない。

そういう人間が書いた文章だと思って読んでほしい。

今回読んだのは「パン屋再襲撃」。

新装版 パン屋再襲撃 (文春文庫)

新装版 パン屋再襲撃 (文春文庫)

著者の作品に初めて触れたのは、タイトル通りはじめての文学 村上春樹。それからも時々彼の短編を読むようになった。

何編かの短編を読んでわかったことは、村上春樹は小説たる小説を書く人であるということだ。

例えば、面接で「大学四年間の一番注力したことは?」と聞かれたとき、学生は「サークル活動」「ボランティア」「アルバイト」と答えるだろう。

続けて「理由は?」と問われれば「部長として云々」「困っている人々の助けとなりたかった云々」「接客業で人との関わりを云々」と答えるだろう。

ありきたりな答えながら、自分がいかに努力家か・素晴らしい人格者であるかなどなどを端的にわかりやすくアッピールするにはこれしかないのである。

ボランティア活動をしたと言われれば面接官は理由を聞くまでもなくボランタリーな人柄・経験を想像し、履歴書の情報を勝手に補強する。

このように最低限の情報を行き交いさせることで我々は効率的に働くことができる。


しかし、小説とはエンターテインメントだ。効率化と無縁であるべき場所だ。

だから、主人公がふと思い出した「パン屋を襲撃した」記憶からはじまっても何らおかしくない。

その記憶がさして重要な出来事じゃなかったとしても、主人公がそれについて語ることは不思議ではない。

思い出したことからはじまる「パン屋再襲撃」がどんな一夜だったのか、自己アッピールのように語る必要はない。感動的な話に仕立てる必要もない。

さぞ当たり前のことのように語ってもいい。そんなもんか、という脱力じみた語り口でも構わない。

読者は面接官ではない。

「読んだ結果、誠に残念ながら貴殿の採用を見送ることとなりました」などと返事を送る必要はない。(もちろん、感想を送ることが禁止されている訳ではない。) 読んだ物語をどう捉えようと、採用不採用どっちにしたって構わない。

筆者も読者もお互いに無責任でいられる自由さを、村上春樹の文章は思い出させた。

……というまえがきを書こうと思ったのはこのツイートをみたからである。

模範解答に小説のようなものを感じてしまった人は私以外いないのだろうか?

(と思ったら案の定大喜利大会になっていた → 面接官「今日はどうやってここまで来ましたか?」の傑作回答17選

どの粒度で・どのように語るかによって、文章は全く異なるものになる。

小説をはじめとした創作物の面白いところは、重要度に依存した情報共有では決して得られない新鮮な情報が描かれているところなのかもしれない。

村上春樹の文章はそれが顕著な文章であるように思える。 ゆえに、人々を魅了し続けるのかもしれない。

簡単なあらすじ+感想

新婚二人が空腹で起き、夫がパン屋襲撃の話をし、だんだんと現実離れしていく過程が面白い。現実離れした展開なのに主人公の視点がやけにリアリティを帯びているのがより一層引き立てている用に思う。

町にいた象が消えてしまう。文字通りの消滅。主人公はその消滅がわかる前日、象と飼育員の身に起こった減少を目撃していた。

象と飼育員の関係、便宜的な世界、統一性。 度々登場するそれらがなにかを表しているような気がするのに、なにかは分からない、という気持ちになる。

同居する兄と妹、妹が結婚することになり、主人公の兄は婚約者と会う。

冗談ばかりのいい加減な主人公と、"ちゃんと"した妹。互いに干渉しないけれど、互いにある程度は分かっている関係が良い。 主人公の心の動きとか、考えても分からないことだらけだという考えとか、すごく良い。

この作品から、自分は「やれやれ」を意識するようになった。 主人公がやけに「やれやれ」と思う。 村上春樹らしさなのかもしれない。それはため息のようで、テンポ合わせのようなものなのかもしれない。やれやれ。

  • 双子と沈んだ大陸 :

主人公が、以前一緒に暮らしていた双子を雑誌で目にする。双子のことを思い出す。沈んだ大陸の記憶は失われていた。

wikiを見る限り、設定が長編と共通するらしい。 (双子と沈んだ大陸 - Wikipedia))

双子の存在や夢の出来事など、仄暗い雰囲気。

主人公が日記をつける。メモと記憶を頼りに。タイトルの出来事がそのまま主人公の出来事に縮約されたような散文的なストーリーだった。

  • ねじまき鳥と火曜日の女たち:

ねじまき鳥クロニクルの元ネタ、といったところか。

仕事をやめた主人公が、色んな女と会う。(やれやれ、となるような出来事に遭遇する)一日に一度、ねじまき鳥がやってくる。世界のネジを回すために。

印象的な出来事が、つながっていないのにつながっている。不思議な感覚。

最後に

あらすじじゃ伝えられない面白さを伝えるのは難しい。

案の定、有名な作者だと色んな解説・批評が書かれている。

そういう記事を読むと、どう捉えるのか、どう考えるのかが人それぞれ違って興味深い。

さようならを告げる物語<歌おう、感電するほどの喜びを!>

たまたま手にとった本が "アタリ" だったときの喜びったらこれ以上のものはない。

レイ・ブラッドベリの「歌おう、感電するほどの喜びを!」を読みました。

新しい文庫本なのですが、「キリマンジャロ・マシーン」と「歌おう、感電するほどの喜びを!」というふたつの本をあわせた短編集のようです。

「さようなら」の詩人

川本三郎による解説文のタイトルであり、ブラッドベリを表現するのにぴったりなフレーズ。

さよならを言うときは誰でも詩人になる

という解説で引用されている言葉が(どこ発祥かは不明だが)まったくそのとおりだなと。

物語のエッセンスとしての「別れ」。ブラッドベリの描く「さようなら」は次の未来へ進むための「さようなら」ではなく、ただただ現実に別れを告げている。

私はその独特の雰囲気にすっかり魅せられてしまった。詩的で、美しい物語だ。

簡単なあらすじメモ+感想

パパ・ヘミングウェイを敬愛する主人公が、ヘミングウェイとともにタイムマシンで過去へと向かう。

ストーリーとしては単純かもしれない。でも、主人公の心情や二人のやりとりに感情が揺すぶられる。古き良き時代、最上の日に思いを馳せて泣いてしまうのだ。

  • お邸炎上 :

自由を祝うため、金持ちの家を燃やそうとする人々。家の主人と話してみたところ、家の中には貴重な絵画があることを知る。主人は家を燃やすこと自体は構わないらしいので、その絵画を引き取ることにしたのだが……?

とんちのきいた寓話のような話。

  • 明日の子供 :

生まれた赤ん坊は異次元に取り残された。人間の目からは青いピラミッドにしかみえないが、赤ん坊はちゃんと生きている。見え方の問題。夫婦は赤ん坊と同じ場所に行くことを決める。

赤ん坊が青いピラミッドというだけで十分に狂気的な物語。夫婦が今いる次元と簡単に別れを告げる、その展開が余韻を残してくる。

  • 女 :

海に漂う知性をもった"女性"。彼女は男が海に入るのを待っている。海辺にいる女性と"女性"の攻防戦のような話。

  • 霊感雌鳥モーテル :

世界恐慌の最中、職を求め車を走らせる家族。養鶏場を併設したモーテルで、彼らは奇妙な卵を見る。その卵にはカルシウムである言葉が描かれていた。

職を探しているような切羽詰まった状況にも関わらず、家族の関係がうまくいっている。その理由が面白い。

たがいにほどよく尊敬の念を欠きあっているので、けんかのために集まる。不思議な関係。

機械のリンカーンが暗殺者によって"殺された"。リンカーンは人間ではないし、殺されてはいない。暗殺者はなぜ殺そうと思ったのか、主人公はなぜ彼を放免したのか。不思議な話だ。

  • われら川辺につどう :

しなびた通りの商店街が舞台。その近くで、新しく道路が開通する。そうすれば、この道は死ぬのだ。最後の一日を描いた作品。

道路の「さよなら」を表現した作品。人がいなければ道路は死ぬ。すごい好きだ。 最後の一日をどう過ごすか、どう感じるか。卒業式のような、最後の時間を大切に過ごそうと思えるようになる。

  • 冷たい風、暖かい風 :

異国から来た観光客御一行を不審がる地元の人々。公園でじっとしていた御一行の目的は「葉の色が変わるのを眺めること」だった。彼らは夏から、冬を求めてやってきたのだ。

「北風と太陽」のような、寓話っぽい話。アイルランドのお国柄?風土?がうまく使われているのが良い。

  • 夜のコレクト・コール :

火星に取り残された最後の一人。彼は孤独を紛らわすため、自分の声を録音し、電話をかけてくるように細工をしていた。

孤独の限界に挑む主人公に、感情を揺すぶられる。この物語もまた「さようなら」の物語だ。 地球に戻る他の人間にさようならを告げた老人は、ひとりぼっちにさようならを告げる。

  • 新幽霊屋敷 :

資産家の女性が持つ素晴らしい屋敷の秘密。燃えた屋敷をそっくりそのまま作り直しても、元の古い屋敷とは違う。屋敷は古い人間を拒否し、排除しようとする。

新しく「古き良き」モノをつくることはできない。古いモノは置いていかれるしかないのか、という悲しい気持ちになる作品。

  • 歌おう、感電するほどの喜びを! :

原題 "I sing the body electric!"から訳すセンスが素晴らしい。母親が亡くなった主人公のもとにやってきた"電子おばあさん"と家族が打ち解けるまでの物語。

"電子おばあさん"というのは乳母ロボット。主人公兄弟を世話するのはもちろん、彼らを正しい方向へと導く。おばあさんの語り口はロボットというより天啓のような、心理をついた優しい言葉。感動。

  • お墓の引っ越し:

老いた女性が、若い頃亡くなってしまった男性の墓を掘り起こす。男性は死んだときから年をとっていないが、彼女はすっかり年老いてしまっていた。しかし……

  • ニコラス・ニックルビーの友はわが友 :

ある夏の日、少年のもとにやってきたチャールズ・ディケンズ。 (チャールズ・ディケンズ - Wikipedia)もちろん、チャールズ・ディケンズは既に死んでいるはずで、彼は偽物に違いない。それでも、少年は彼に魅せられる。

落ちこぼれの小説家がどれだけ努力したかを語る。努力しても実ることはなく、ついに"自分を殺した"ことを語る。瞬間精密記憶(フォトグラフィック・メモリー)によってチャールズ・ディケンズの著作を正確に語れるようになったことも。

自分を偽ることはきちがいじみているのか。成功できない人にこそ読んでほしい。そして、考えてほしい。

  • 大力(だいりき) :

"大力"とよばれる男は、三十一にもかかわらず結婚と無縁でいつまでも子供のような生活を送っている。母親は咎めることも追及することもできない。

筋肉強い。現代だとそこまで不思議じゃない話なのがなんとも皮肉。

ロールシャッハってなんのことかと思ったら、ロールシャッハ・テスト - Wikipediaというものがあるらしい。かつての偉大な精神医学者が、なぜ突然姿を消したかを語る。視覚の欠落・そして聴覚の欠落。彼が感じていた世界は全く正しくなかった。

ロールシャッハのシャツ。その柄が何に見えるか。その答えからわかることはなにか。ニューポートの海岸沿いのバス、という舞台が物語をより一層豊かにしてくれる。

  • ヘンリー9世 :

すべてのグレートブリテンの人々が<島>を去る。夏へ移動する。残るひとり、ハリー。彼は変化を望まず、永遠の8月を拒んだ。

ブラッドベリの物語は、例えより良い未来・変化だとしても、それを拒否する人間を描いている。 それが"きちがい"じみているのかは分からない。間違っているとは思えないのだ。

  • 火星の失われた都 :

火星人の残した都市を尋ねる一行。パニックSF映画でよくある、登場人物ひとりひとりがひどい目に合うアレ。 登場人物の性格や職業にあわせて合う災難は皮肉が効いてて良い。

  • 救世主アポロ :

ポエム、というか詩である。SFだけど、賛美歌のような詩歌。

さいごに

さようならを言う。それは悲しいことかもしれない。それは心揺さぶられることかもしれない。

明るい未来を思い描きたい。前へと進まなくてはいけない。

でも、そんな期待や希望が重苦しい感じ、忘れたくなるときもある。

ブラッドベリの物語を読むと、ただただ、「さようなら」が愛おしくなる。過去に思いを馳せたくなる。

物語にすっかり魅せられた。好きになってしまった。

人々が平成最後の夏に魅せられる。「さようなら」に魅せられるのだと痛感した一冊だった。

種々雑多<蒸気駆動の少年>

蒸気駆動の少年を読みました。

蒸気駆動の少年 (奇想コレクション)

蒸気駆動の少年 (奇想コレクション)

比較的短めの短編が多いですが、ひとつひとつの濃度は濃いです。

あと、奇想コレクションは「SF」作品のイメージが強く、どちらかというとSFメインの作家が選出されているが、ジョン・スラデックはSFもミステリもオカルト系も網羅している、すごい多様な作家のよう。

文章・小説という型にとらわれない作品も多々ある。

  • 「不安検出書(B式)」 はそれの最たる例で、アンケート調査用紙のフォーマットが記されている。アンケートの内容に答えていくと……?といったサブリミナルな感覚を覚える作品。

  • 「月の消失に関する説明」 や 「神々の宇宙靴――考古学は覆された」 のような科学記事を模した作品。それっぽいのに加え皮肉がきいている。

  • 「ベストセラー」 は同じ登場人物で語り手が変わっていった結果、設定がコロコロ変わってく、劇中劇のような、複雑なストーリー。出版社に取り下げられて結末を変更しました、まで書かれちゃうのだからすごい。

といったように、とても遊び心に溢れている。

簡単な感想

せっかく収録されている短編が多いので、メモ代わりに簡単なあらすじ・感想を書く。(短編のあらすじ・作品名って意外と思い出せないので、検索してしまうことが多々ある。という反省を込めて)

全部書くわけではないが、収録順で。

  • 古カスタードの秘密:のっけから置いてけぼりくらう作品でびっくりした。夫婦の家の中でのドタバタ劇なのだが、家電が勝手に動いたり、地下とキッチンで無意味な交信をしていたり、ナンセンスな雰囲気が漂う。世界観が不思議でいっぱいな作品。

  • 超越のサンドイッチ:宇宙人セールスマンが人間の主人公に「知恵」を売る。届く荷物にはサンドイッチとテキスト。そのサンドイッチを食べるとテキストの内容がすんなり理解できる。知恵を育てる方法に「プラナリア」のような伝達方法を用いることで… アイデアはシンプルだけど、SFっぽさが光っていて面白い。

  • 最後のクジラバーガー:食事を食べるショービジネス、ツギハギの体で生きている夫婦。すべてが家の中で完結するハイテクな世界なのに、家にまで広告が流れて会話が途切れるとか、そことないディストピア感がある。夫婦の在り方・人生について凝縮されていて、少し切ない気持ちにさせられる。

  • 高速道路:アメリカの高速道路も日本と同じような道路なんだろうか。アメリカという広大な土地で延々と同じ景色の道を走っているバスを思わせる作品。リゾートへと向かうバスに乗っている主人公が乗り継いで乗り継いで、そのうち、ランニングマシーンのように同じ道を繰り返していることに気づく。降りても待っているのはなにもない孤独。

  • ゾイドたちの愛:"本物人間"の場所を間借りしてひっそり生きている"ゾイド"たち。人間なのに、人間からは視えない(視認されない)、必要とされない、醜い人間。解説曰くホームレス問題を風刺したものと考えることもできるようだが、同じ人間でも見て見ぬふりをされる存在、というのはいろんな対比として重なりそうでもある。

  • 血とショウガパン:ヘンゼルとグレーテルの残酷描写モリモリバージョン。暖炉の火に幻視するナチス強制収容所、という背景があるらしいが、それを抜きにしてもヘンゼルとグレーテルがめちゃくちゃ残酷である。

  • 不在の友に:宇宙酒場でロボットが語る彼の物語。その物語には分析や問いかけは――あっ!

  • 小熊座:ホラーな話。くまのぬいぐるみがインディアンの呪詛云々……。ジェレミ・ベンサムの標本が本当に存在してるとか、 (ジェレミ・ベンサム - Wikipedia)ゴーストダンスとか、それっぽい嘘かと思ったら本当なのが恐ろしい。

  • ホワイトハット:人間の体を馬のように操るなぞの昆虫型の宇宙人。彼らはなぜか、人間を操って西部劇ごっこを繰り広げる。西部劇っていうのが子供の遊びの延長線のようで滑稽だ。

  • 教育用書籍の渡りに関する報告書:ちょうど最近"積読"がBBCで特集されて(Tsundoku……積ん読 それは本を買い、決して読まない技 - BBCニュース)話題だったりするが、この短編はまさに積読の本が主人公である。読まれることのない本たちが、突然空へ羽ばたいていく。それは群れをなし、他の本たちも一緒に"集団自殺"へと向かうのだ。読んだあと、謎の感動が生まれる作品。

  • おとんまたち全員集合!:大人たちはいつまでも子供でいたい、そして遊びやレジャーに夢中。対する子どもたちははやく大人になりたくて、勉強をし、大人たちから仕事を奪う。そんな皮肉のきいた作品。

最後に

個人的には「超越のサンドイッチ」とか「教育用書籍の渡りに関する報告書」が好きだと思った。

ゾイドたちの愛」や「高速道路」や「最後のクジラバーガー」など、ちょっと孤独や切なさを感じる作品は、なかなか味がある。

夏のSF<逆光の夏>

猛暑が続く毎日、夏っぽいSFを読みました。

ジョン・ヴァーリイ「逆光の夏」

実は随分前に買って積読したままでした。ようやく読み終わった。

感想

この短編集はすごい。有名作品を集めた短編集なのかな。

ジョン・ヴァーリイという作家の世界観が伝わる作品でした。

  • 逆行の夏

表題作。水星に住む主人公のもとにクローンの姉がやってくる。初っ端から独自の世界観が全開で驚いた。表紙とイメージが違う

《八世界》(The Eight World) とよばれる未来史に基づいた世界観。人間が太陽系の惑星に移住していたり、遺伝子操作してたり。新鮮。

逆光の夏では、主人公の出生の秘密が鮮やかなボーイ・ミーツ・ガールのなかで語られます。水星が半分はずっと太陽の方を向いているわけではない、という事実をうまく扱ってるのがいいですね。

表題作と同じ世界観、こちらは冥王星が舞台。

自然豊かな海で二度目の少年時代を過ごす主人公ピリ。最後まで読むとタイトルがしっくりくる。 大人から子供に戻ることができても、ほんとうの意味で子供ではない、複雑な状況ゆえの葛藤が面白い。

蛇足: おなじタイトルでドラマが放映されていたようで、すごく気になる。今旬の田中圭さんが主演。さよならロビンソンクルーソー - Wikipedia

  • バービーはなぜ殺される

これは発想の勝利だと思った作品。

バービーというのはバービー人形のこと。量産品のように、みんなバービーの姿形をしていれば平等じゃない、というやばい新興宗教で起こった殺人事件。 殺されたバービーも、殺したバービーも、他のバービーも、全員同じ姿形で、差異が存在しない。犯人は誰だ?

こういうヤバイSF設定にミステリー要素がぴったり合っていた。映画ブレードランナーのようなハラハラさせる展開で面白い。

  • 残像

今回一番キタ作品。最初のコミューンのくだりからはじまり、どういう主題かわからないまま読み進め、気がつくとラストまで一気に読んでしまった。

それぞれが独自のコミュニティーを築き上げている中、ヘレン・ケラーのような視覚と聴覚の重複障害者たちだけで暮らすコミューンが存在した。

目も耳も聞こえない彼らは独自のボディランゲージを持っていて、独自の、彼らしか「視えない」ものとつながっていた。

この独自の世界に出会い、衝撃を受ける主人公の心情。ある意味でファーストコンタクトもののような感覚を覚えたし、ラストの展開は考えさせられる。

削ぎ落とされた機能は、マイナスとは限らない……

  • ブルー・シャンペン

愛とか恋とかを知らない主人公が、黄金を身にまとったセレブ美女に出会うことで変わっていく話。

といえばSFっぽさはないが、黄金のジプシーの秘密とか、彼女の夢とか、舞台となる観光地「バブル」の鮮やかな情景との親和性が良い。ふたりとも不名誉な二つ名を持っているとかも。

「さよなら〜」でも思ったけど、ヒロインじゃない方の女性キャラクターが(精神的・肉体的に)強くてすごく好きだな。

ブルー・シャンペンだとアンナという女性がそれにあたる。彼女は主人公のセフレに「なってあげてた」んだけど、主人公の未熟さを見抜いてたし、状況によってアドバイスしたりしなかったり、人生設計の軸がちゃんとしてるところがすごく好感を持てた。

  • PRESS ENTER ■ 

サスペンスのような、アメリカの陰謀論を扱ったような作品だった。

コンピューターを使えばなんでもできることが恐ろしい、という気持ちにさせられる。

とはいえヒロイン(?)のキャラが濃い。アジア系の巨乳のギークである。あと壮絶な過去持ち。ギャルゲーでもそんな要素モリモリしない。

そればかり気になってしまった自分とはなんなのか。。

総括

  • 夏要素

意外と海を扱う作品が多かった。

恋に落ちた二人が海を泳ぐ、というのはなんとも美しい描写だな、とも思う。

  • 障害

《八世界》の世界をはじめとして、当たり前のように遺伝子操作とか見た目を変化させる描写・世界観である。

障害を持っていたり、何かが欠けていたり。

それゆえに残酷な描写も、妖艶な描写もある。

SFならではのウマミがつまった作品だった。

怜悧で官能的なヴィジョンがあふれる6篇

とBOOKデータベースの紹介に書いてあるけど、まさにそのとおりである。この内容文書いた人天才だな。