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活字を駆使した物語<死の鳥>

読んだ本感想。

ハーラン・エリスンの「死の鳥」を読みました。

タイトルと表紙でどれを読むか決めてしまう人間です。死の鳥、カッコいい、読もう、です。

しかしながら、この本、すごい。

めちゃくちゃな作品ばかりである。タイトル通り、活字を駆使している。

太字や斜体やパンチングテープ(!)を駆使している。ラノベでみたことあるような紙面の使い方を、60~80年代のSF小説でしているのだ。

内容もすごく挑戦的。アイデアが抜きん出ている。


「おれには口がない、それでもおれは叫ぶ」

AMというコンピューターに閉じ込められた主人公たち、という今で言うディストピアもの。 パンチングテープで会話するAM、というのがなんとも60年代ぽい。

「死の鳥」

いくつもの場面・時間が同時並行する物語はよくみるが、それを読解問題のテストに見立てて描写する作品はみたことがない。繋がりのないようにみえる文章どうしが、これまた途中に挿入される問題文によって、繋がっている。 『創世記』の<蛇>を再考する発想がすごい。

「ジェフティは五つ」

タイトル通り!タイトル通りすぎて清々しい! 昔を懐かしむ気持ちは誰にでもある。でも今は むかしよりずっとよくなった。 その切なさ。 ジェフティが永遠に五つならば、主人公ダニィは彼に会うたびにその時代に戻れる。


……と、いったように、イデアというSFの面白さが存分に味わえる短編集だった。

SFっていいね。