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映画・本の感想とかメモとか考察とか

こんな感想しか書けない私を許してください<『怒り』>

 

『怒り』みました。

みようと思ったきっかけは

渡辺謙、そして妻夫木聡綾野剛

 

3つのストーリーが交錯するのもまた気になったわけです。

 

www.ikari-movie.com

 

 

上映時間もそこそこ長く、ストーリーとしても結構な情報量があります。小説原作ですもんね。

ぶっちゃけると映画館でみるより自宅とかで頭を整理させつつ2回くらい見た方がいいような映画な気もします。

しかしながらPG12で結構アレなシーンもあるためご自宅でのご視聴は気を付けた方がいい気もします(まだDVD化されてませんけど)。

 

妻夫木さんと綾野さんのストーリーに注目されてる方多いと思うので、

これから見ようかなって思う人のために書いておきますけど。

すごく官能的で、すごく当たり前のようで、脆く儚いです。ベ

ッドシーンは結構でてきますし、

普通のカップルのように暮らしている二人が見られます。

すごいイイです。語彙力なくてごめんなさい。

 

以下感想です。

途中からネタバレしてます。

書く上でやっぱり核心となるのはそこだと思うので。

 

 

 

構成について

複数の異なる登場人物、異なる舞台によって物語が構成されている。

殺人犯の情報提供を呼びかけるTV映像によって、物語の軸が平行にあるひとつの方向に進んでいることが認識できる。

それはもちろん「犯人はこの3人のだれか」という疑問への解決。

東京・千葉・沖縄と場面がコロコロと変わる。こういう作風に慣れてない人には辛いんではないかな。

『ここでこう場面転換するかあ~!』とか楽しめるので私は好きです。

 

登場人物について

それぞれの話軸については後で述べるとして。

まず感心してしまうのは、よくもまあ似た3人を探せたなあってこと。

松山ケンイチ

綾野剛

森山未來

…並べると確かに似ている。

+犯人役(※殺人現場時点)の俳優で4人ですよ。いやあ、よく探したなあ。

故に最後の最後まで全員怪しいなあと思ってしまう。

普通なら流し見してしまうようなところも、犯人が誰かというヒントになってたりする(気がする)。規則正しく置かれたカップ麺とか、仕草とか。猫背とか。

3人とも似ているんだ。こりゃますます展開が気になるわけです。

 

ストーリーについて

3つの物語。

それぞれ全く違うテーマが用意されているような、全く異なるストーリー。

普通なら交錯しないし、何の繋がりもない3つの点。

それぞれのなんとなくの感想

 

千葉

舞台は勝浦と鴨川らへんですかね。

渡辺謙さんがやっぱり渡辺謙さん。いい父親役です。

謙さんだからこそ引き出せる父親役ってのがあると思います。

高倉健さんの演じる「不器用な男」と通じるものがある。日本の男性って感じ。

 

番宣で謙さんを「おとうちゃん」と呼んでいる宮崎あおいに違和感があったのですが、当たり前でした。彼女が演じている役はすこし変わった、少女がそのまま大人になってしまったような、そんな娘。

美しく可憐なイメージだった宮崎あおいとは結構違うのですよね。ちょっとびっくりした。それでも無邪気で残酷な役を演じきってました。女優ってすごいなあ。

そして松山ケンイチさん。役柄的にミステリアスでどこか影のあるような。恐ろしいような何か隠しているような。

お互いに普通とは違う2人、信じるということ。

家族が主題としてある、ような。

 

 

東京

主に新宿ですね。

『妻夫木がネコだと思ったら綾野剛のほうがさらにネコだったので消去法的に妻夫木が上になったんだなと考えたものだけが私に石を投げなさい以下の文章を読みなさい』

 

最初に妻夫木さんがパリピしてるシーンには、うわあガチだなと怖気づきそうになったのですが、服装や仕草にゲイっぽさが溢れていて、その役作りに驚きました。

サウナ?で初対面からの行為に及ぶ流れがね、ナチュラルすぎて。官能的でした。

 

綾野剛がコンビニ弁当入ったレジ袋の傾きを必死に直す姿を一生見ていたいと思ってしまった。彼の役は捨てられた子猫のようで、儚く、そして美しかった。とても良かった。

妻夫木さん演じる役が「ゲイをオープンにしたいけど理解されないこともあるから大っぴらにはしてない」というなかなかに現代らしい設定で、苦しみながらも一生懸命な姿。妻夫木さんの涙に泣いた。

信じたいけど信じられない、伝えたいけど伝えられない、そんな難しさともどかしさが中心とした物語だったような。

 

 

沖縄

沖縄のどこか田舎の方、と那覇

広瀬すずちゃんと森山未來の「少女とおじさんの友情劇」を期待した私が悪かった。許して下さい。

沖縄の根底にある問題に触れるとはまさか思わなんだ。特にどっちがいいとは言っていないけど。

こんなことで変えられるのかな、というのは私も思っていた。それだけは確実だ。

 

いや、でもさあ、沖縄のところだけもどかしさでいっぱいいっぱいで、ぶっちゃけ負の連鎖が一番わかりやすく起こっていて、誰一人幸せになれないので、胸糞悪い。

 

 

 

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ネタバレになってしまうけどここまできたからには書くしかないですよね。

数行下に書いてます。注意。

 

 

 

犯人は沖縄の人物なんですよね。

そして彼は異常で、狂っていて、信じていた全てを裏切っていた。

同級生と那覇に行って、米人に強姦されて、 それを黙ってて欲しいといって、それを犯人もみていた。傍観していた。馬鹿だなあと嘲笑した。

彼の怒りの矛先は人間の尊厳を汚すもの、人間を人間以下のように見下すもの。それだけじゃなくて人間以下に見下されたものに対しても「見下している」。

「怒」の文字は自分への扱いから起きたもの。

 

そもそもの負のはじまりは広瀬すず演じるいずみちゃんが犯人と出会ってしまったことなんだけど、もっと言うと強姦されてたこと黙ってほしいって同級生にお願いしてしまったことなんだよね。秘密を持ち続け耐える方を選んでしまった。彼が見ていたことも知らずに。

何かをずっと抱え続けることは不可能なんだ。

 

東京パートでの妻夫木さんと高畑さんの会話。

「大切なものは増えるじゃなく減っていくんだ。」

 

そのことに気付けなかったいずみ、なのかなぁと深読みする。

最後海で叫んでるシーンも、その後悔を象徴しているのかなと。

 

 

本当のことを言うならば、東京・千葉の物語だけをみたかった。沖縄のシーンは後半みていて辛すぎた。

でもそれが狙い通りなのかもな。犯人じゃないとわかった瞬間からそれはハッピーエンドなんだ。関係をやり直してまた家族になる、信じてやれなかったことと何もかもに気付けなかったことに後悔する。

どういう終わり方にせよ、この二者はごく普通の、ちょっとした日常小説に収まるのだから。

 

以上。