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事務の人と戦う時の心構え備忘録~あるいは人間らしさについて

梅雨も近づく季節、皆様如何お過ごしでしょうか。

最近は時期も時期ということもあり、所属の事務や役所の受付にお伺いすることが多くなりました。
そこで何が問題かと言いますと、事務の職員の皆様方との意思疎通でございます。

 

数年前、登録に不備があると呼び出しを受け、出向した時のことでございます。
記入する用紙を手渡す職員様の態度はさながら囚人を相手にしている看守のようでございました。恐ろしいなアと思いながらも記入し、看守様にお見せしたところ何かおかしい。どうやら書くべきでない欄にも私が記入していたようで、看守様はあからさまな嫌悪をみせられました。そうしてこう言ったのです。
「こんなのも間違えてるようじゃ社会で生きていけないよ?」
突きつけられた言葉はこれ以上でも以下でも御座いません。私は謝る他ありませんでした。

当監房の事務職員は冷たいという評判は噂では聞いておりました。身をもって体験するとなるとその噂に納得せざる得ません。
しかしながら帰り道、ふと思いました。
「何故社会の厳しさを持ち出したのだろう」
所詮は一囚人のケアレスミスです。そこまで壮大な話になるのには理由があるのではないか。囚人なりに考えました。

 

そして私の至った結論は以下の如くで御座います。
「事務職の皆様方は常に社会の厳しさと戦っておられるのだ」と
彼らは職員でも看守でも御座いません。戦士なのです。
しかも常にレベリング向きのフィールドで、同じ敵とずっと戦っているような戦士なのです。

 

つまり。我々と事務職の人々の意思疎通は戦いです。
前置きが長くなってしまいましたが、事務的処理に追われている人と対面する時の心構えについて、以下備忘録といたします。

 

1 彼らは無限ループと戦っていることを忘れてはならない
例えば書類の申請。記入してもらい、それを確認する。彼らはこの行動を我々が遭遇するまでに何度行ってきたのだろう。無限ループから抜け出すことのできない戦士は孤独と、精神と戦っているのである。

 

2 彼らの背景を勝手に読み取って同情すると心は穏やかになる
1のように、彼らのことを考えてみる。「もしかしたら先程上司にこっぴどく叱られたのかもしれない」「上下関係に悩んでいるのかもしれない」「睡眠時間が3時間くらいなのかもしれない」「これと同じミスをやらかしたことでこの人は人生の道を踏み間違えたのかもしれない」等々。嗚呼辛いことがあったんだね、疲れてるんだね、そう思えば自然と相手の気持ちを汲むことができるかもしれない。


3 大人の対応は一方的にみせつけてもいい、親切は親切を生む
間違いを指摘されたとき、咄嗟に謝ってしまう。これぞJapaneseスタイルだと言わんばかりに。確かに、うやむやにしたり反論してもいいことがないことは世間にとって自明のことのように思われる。
しかし、その指摘に怒りの感情が吐露されていた場合。すぐ謝罪するようでは言葉の暴力に屈しているだけになってしまう。謝罪の強要である。
ここで謝罪にひとこと付け加える。感謝の気持ちである。ご指摘いただきありがとうございます、と心のそこから思ったことをお伝えする。そうすることで相手との関係は保たれる。それは相手にとっても自分にとっても有益である。


会話は勝ち負けだけの世界ではない。それを一方的に知らしめることができる。そしてその意思が受け継がれるよう願うばかりだ。


4 これは礼儀作法を大事にする人間の為の人間による人間の尊厳を賭けた戦いなのである
会話は衝突の連続である。違う背景を持つ同士が円滑にことを進ませることなど容易ではない。
だからといって。全て自動化させるべきと、断言できるだろうか。数十年後、ロボットが全ての事務業務を行う時代がくるかもしれない。そこに優しさはあるだろうか、礼儀はあるだろうか。そのロボットに向かい暴言を吐いて、こき使うようなことがあるだろうか。

そう思い巡らすと、色んな課にたらいまわされることが人間らしいと感じてしまう。
この不器用さが人間なのである。

 

今日も笑顔で。

かしこ。