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映画・本の感想とかメモとか考察とか

2020年読んだ本

今年は全然ブログを更新できなかったが、読んだ本の感想をまとめてみる。 なめらかな世界と、その敵 なめらかな世界と、その敵作者:伴名 練発売日: 2019/08/20メディア: Kindle版 思い切って買い、読んだ。 新しい作品、しかも日本SFはほぼ読まないのでイマ…

「乙女の港」がエモかった

ようやく図書館が開放されたので、数ヶ月ぶりに本を借りに行った。 開いてない間はKindle本を少しづつ消化していたが、購入する本となると再読本だったり、作家が偏ったりしてしまう。 そういう意味で、買うまでは行かないものの、偶然目について気になった…

2019年の総括(読んだ本・面白かった本)

Photo by Daria Nepriakhina on Unsplash 1年も終わりなので、読んだ本について振り返ってみる。 読書メーターによると、今年読んだ本は48冊。大体週に1冊は読めた計算になる。 読書傾向 昨年は海外小説ばかり読んでいたが、日本の作品も少し読むようになっ…

取引のエコロジー<ベガーズ・イン・スペイン>

読んだ本の感想。 ベガーズ・イン・スペイン (ハヤカワ文庫SF)作者: ナンシークレス,Nancy Kress,金子司出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2009/03/31メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 29回この商品を含むブログ (42件) を見る ベガーズ・イン・スペイン …

二つを結ぶアスタ<アステリズムに花束を>

SFと百合、思えばどちらのジャンルも定義は曖昧なのではないか。 アステリズムに花束を 百合SFアンソロジー (ハヤカワ文庫JA)作者: S‐Fマガジン編集部出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/06/20メディア: 文庫この商品を含むブログを見る SFはScience Fic…

危険なアンソロジー<危険なヴィジョン>

危険なヴィジョン、全3巻を読み終わった。 危険なヴィジョンは約半世紀前、 ハーラン・エリスンによって世に出た、ヤバすぎるSF(スペキュレイティブ・フィクション)アンソロジーである。 危険なヴィジョン〔完全版〕1 (ハヤカワ文庫SF)作者: レスター・デル…

継続する営みのあり方<職業としての小説家>

ずいぶん前のことで細かい内容はすっかり忘れてしまったのだが、 あるブログが「村上春樹は一日に何文字書くと決めて、そのルール通りに小説を書き進めている」という例を出しながら、習慣について書いていた。 個人的に小説家のイメージは「書けなくて云々…

2018年の総括<読書習慣など>

今日も残すところわずか。せっかくなので2018年の総括をする。 Photo by Stanislav Kondratiev on Unsplash 1年間のブログについて 読書が習慣になり、読んだ内容を忘れないようにブログに書くようになった。 結果として、このブログを開設してから最多の記…

キャビアを食べたことはない<輝く断片>

奇想コレクションの「輝く断片」を読みました。 輝く断片 (奇想コレクション)作者: シオドア・スタージョン,大森望出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2005/06/11メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 23回この商品を含むブログ (129件) を見る 「不思議…

自問自答のテンプレ<[ウィジェット]と[ワジェット]とボフ>

スタージョン・奇想コレクションの「[ウィジェット]と[ワジェット]とボフ」を読みました。 [ウィジェット]と[ワジェット]とボフ (奇想コレクション)作者: シオドアスタージョン,若島正,Theodore Sturgeon出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2007/…

奇妙な味を味わう<夜の夢見の川>

「奇妙な味」は江戸川乱歩がつくった造語。(奇妙な味 - Wikipedia) 守備範囲は推理ジャンルのみならず、SFや怪奇モノにもわたる。ちなみに、奇想コレクションも奇妙な味。 そんなわけで「奇妙な味」アンソロジーである「夜の夢見の川」を読みました。 久々に…

幻想の未来世界<十月の旅人・刺青の男>

レイ・ブラッドベリの短編集2つの感想。 読んだのは十月の旅人・刺青の男。どちらも結構最近出版されたもの。 表紙がオシャレである。 刺青の男〔新装版〕 (ハヤカワ文庫SF)作者: レイブラッドベリ,Ray Bradbury,小笠原豊樹出版社/メーカー: 早川書房発売日:…

便宜的な記憶<パン屋再襲撃>

私は村上春樹をよく知らない。 そういう人間が書いた文章だと思って読んでほしい。 今回読んだのは「パン屋再襲撃」。 新装版 パン屋再襲撃 (文春文庫)作者: 村上春樹出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2011/03/10メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 4回この…

さようならを告げる物語<歌おう、感電するほどの喜びを!>

たまたま手にとった本が "アタリ" だったときの喜びったらこれ以上のものはない。 レイ・ブラッドベリの「歌おう、感電するほどの喜びを!」を読みました。 歌おう、感電するほどの喜びを!〔新版〕 (ハヤカワ文庫 SF フ 16-8)作者: レイ・ブラッドベリ,伊藤…

種々雑多<蒸気駆動の少年>

蒸気駆動の少年を読みました。 蒸気駆動の少年 (奇想コレクション)作者: ジョン・スラデック,柳下毅一郎出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2008/02/19メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 48回この商品を含むブログ (49件) を見る 比較的短めの短編が多…

夏のSF<逆光の夏>

猛暑が続く毎日、夏っぽいSFを読みました。 ジョン・ヴァーリイ「逆光の夏」 逆行の夏──ジョン・ヴァーリイ傑作選 (ハヤカワ文庫SF)作者: ジョンヴァーリイ出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/09/09メディア: Kindle版この商品を含むブログ (1件) を見る…

卒業<関ジャニ∞のはなし>

注意:この記事はジャニオタのポエムです 自動販売機の広告にはこう書かれていた。 おとなには、卒業がない。 いつ始めても、 いつまでやっててもいいってことだ。 おとなになると、卒業することがなくなる。 学生ではないのはもちろん、組織に所属すれば卒…

"良いストーリー"とはなにか<紙の動物園について思ったこと>

ケン・リュウの「紙の動物園」読みました。 という感想を書くつもりが、短編1つについてとりあげた考察みたいな文章を書いてしまった。 紙の動物園 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)作者: ケンリュウ出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/05/29メディア: Kind…

踏み台としての狂気<さあ、気ちがいになりなさい>

「さあ、気ちがいになりなさい」というインパクト抜群の本を読みました。 さあ、気ちがいになりなさい (ハヤカワ文庫SF)作者: フレドリックブラウン,Fredric Brown,星新一出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2016/10/21メディア: 新書この商品を含むブログ (4…

インドとSF<サイバラバード・デイズ>

サイバラバード・デイズを読みました。近未来インドを描いた中編の連作。 サイバラバード・デイズ (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)作者: イアンマクドナルド,Ian McDonald,下楠昌哉,中村仁美出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2012/04/01メディア: 単行本 クリ…

ボーイミーツガールは少女によって成立する<たんぽぽ娘>

日本人の好きなSFが欧米のそれとは全く異なる、という話がSF小説の解説・あとがきではよくされている印象がある。 そこでいつも挙げられるのが「夏への扉」、そして「たんぽぽ娘」。 共通する要素。そう、日本人はロマンティックなSF大好きですよ!と言いた…

理想に過ぎないと知りながら、理想郷を思い描く<ヴィーナス・プラスX>

シオドア・スタージョンのヴィーナス・プラスXを読みました。 ヴィーナス・プラスX (未来の文学)作者: シオドアスタージョン,Theodore Sturgeon,大久保譲出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 2005/05メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 10回この商品を含む…

活字を駆使した物語<死の鳥>

読んだ本感想。 ハーラン・エリスンの「死の鳥」を読みました。 死の鳥 (ハヤカワ文庫SF)作者: ハーラン・エリスン,伊藤典夫出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2016/08/05メディア: 文庫この商品を含むブログ (13件) を見る タイトルと表紙でどれを読むか決…

読んだ本<あまたの星、宝冠のごとく>

定期的にインプットが不足してる気がして、そのたびに模索する。 今回は本を読みたくなって図書館へ。 選んだのは分厚くてインパクトのあるタイトル、あまたの星、宝冠のごとく。 あまたの星、宝冠のごとく (ハヤカワ文庫SF)作者: ジェイムズ・ティプトリー…

感想<君の名前で僕を呼んで>

世間はGW。色んな映画が続々公開されてますね。休みの日を映画館で過ごすって素敵ですよね。 前から気になってた「君の名前で僕を呼んで」をみに映画館へ行きました。 はじめて予告をみたときから、絶対みると決めていたので。 cmbyn-movie.jp 雲田さんの描…

交流がしんどくなるだろう未来の私へのポエム

前置き (この記事の趣旨) >>しんどい<< このしんどさを鎮めるために考えを吐き出そう ポエムを書こう ツイッターってしんどい。 たびたびこの感覚に襲われる。 生理前でイライラしてるんだろ。その意見(というか自分の内なる反論)はご最もで、「ツイ…

良い映画は良い映画<泥棒役者>

色んな映画を観る。 観るたびに「よかった」「悪かった」というざっくりとした感想が蓄積される。 自分の判断基準は今まで観たもので成り立っている。 そんな感じで、良い映画の経験がまたひとつできた嬉しさを共有したい。 泥棒映画みました dorobou-yakush…

だから私は感想が書けない

読書の秋、とはあまり関係がないが久しぶりにブログを書いてみる。 作者に感想を送ろう、という流れがある。 理由として *作者のモチベーションがあがる *作者が嬉しい *→続きをかいてくれるかも! などなど、「作者にとっても良いことだらけなので送るべ…

本読んだメモ<海を失った男>

唐突に本が読みたくなったので以前途中まで読んでそれっきりだったスタージョンを読みました。 海を失った男 (河出文庫) 作者: シオドアスタージョン,若島正,Theodore Sturgeon 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2008/04/04 メディア: 文庫 購入: 7人 …

こんな感想しか書けない私を許してください<『怒り』>

『怒り』みました。 みようと思ったきっかけは 渡辺謙、そして妻夫木聡と綾野剛。 3つのストーリーが交錯するのもまた気になったわけです。 www.ikari-movie.com 上映時間もそこそこ長く、ストーリーとしても結構な情報量があります。小説原作ですもんね。 …